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crazy



『我が一念はそんなに滑稽だろうか』

「ハッ!理想の主人を自分で作って何か悪ぃのかい?あ゛?」
とむしろ開き直りそうな親ばかカラス。とんだ光源氏計画だよ。
理想の主人になってもならなくても
結局ユニかわゆさに尽くしちゃう明日魔さん



【理想人間の失敗作】





いきとし生ける動物には欲が生まれるものだが、
我等のように魔物と呼ばれるそれらには
欲望に特化したもの以外、そういったものが、ひどく薄いように思われる。
当たり前といえば当たり前なのかもしれない。
なぜなら、我等は人間という最も欲の深い生き物によってときに使役され、
その欲を叶えるための物であるのだから元々そういう風にできているのかもしれない。

だが、俺は生み出でたときから、
他の物たちのようなことにはならないと確信できた。

なぜか、


俺は欲深い、ヒト、という生き物が大嫌いだからだ。


欲は醜い。それによってしか動けない人間という生き物は醜い。
神獣として機能しなくとも、俺は生きていける、

怠惰を食いつぶすように何百年と、ただ生き続けた。

生きれば生きるほどに知能がつき、視野が広がり、その分人間を嫌った。
あんなに汚い生き物に仕える他の連中の気が知れない。



でも明日魔はそんな自堕落な日々とあっさりサヨナラすることになる。



その日、明日魔はひどく汚い音に飛び起きた。
危うく止まり木から落っこちそうになるくらいに頭を引っかき回されるその音は、
昼寝をするのに気に入っている木のある、広い屋敷の一室から聞こえてくるようだった。
しかし、確かここの家の女主人は作曲家で、このような騒音を奏でる人間ではなかった気がする。

案の定、その音を出していたのは彼女ではなかった。

床に置かれたヴァイオリンの弦を黙々と弾き続けていたのは、子供だった。
その子供の容姿に見覚えがあった。
それは明日魔の記憶が正しければ、別の大人の人間で、
たしかここと同じ部屋に、数年前までいた、この屋敷の持ち主だ。

つまりは、彼の子供だろう。

まさに彼を小さくまとめたような姿をしたガキは小さな手で、
のこぎりでも扱うかのようにスクリュー部を持ってギコギコと弦に押し付けていた。



妙な光景、妙な雑音、妙な子供、それを見た瞬間から這い上がってきた胸騒ぎ。
感じたことのない、恐怖に似たそれは、まだ自分が知らない事へ対する不安。

そのまま放置しておくことだってできたのに、
その子供の伸ばされた手を振り払えなかった。
真っ赤な葡萄酒のようなふたつの瞳を、欲ではない感情でいっぱいにする子供に、あっさり捕まった。


どうしてこの奇妙な子供に欲が感じられないのか、それはすぐにわかった。
情報的供給を一切絶たれた彼は、頭の中が空っぽだった。
更に、生まれながらに労さず物が手に入るという、
満たされた中、ただ息をするだけの彼は、何かを欲するという感情さえない、


ありえないほどにまっさらな人間。
自分の中のヒトの概念を覆す彼は自分を「明日魔」と呼んだ。

明日などという名前をつけて、もし自分が明日来なかったらコイツはどうするんだろう、

それに興味がないわけではないのに、気がつくと彼の元に通い、
人間の為になど使ってやるものかと、堅く意識していた時間を使っている。

彼はまだ、彼自身が寂しいと思っていることさえ知らないのに。

最初に欲したものが、人間嫌いな自分に明日も来て欲しいと願うことだなんて、


今思えば彼は、欲のない、欲張った人間であった。


でもこうしていてわかったことは、彼は本当に自分の影響のみしか受けないことだった。

これはなんというチャンスだ。


彼が気づきさえしなければ、もしかしたら自分が彼を、
自分が嫌いではない種類の人間にすることができるかもしれない。

半ば利用したい、と言う気持ちで彼の元に行き続けた俺は、
彼に、ありとあらゆる、自分にとって都合のいい知識ばかりを与えた。

そう、いつの間にか俺は、理想の主人が欲しいという、

自分の最も嫌いな“欲”をかいていた。


そしてそれに気づいたときは、ユニという子供は明らかに不完全にできあがっていた。
知識ばかりで不安定な感情、どう怒っていいのか泣いていいのかわかっていない故に動かない表情、伴わない言葉、


彼は誰から見ても失敗作だった。


しかし、ユニがある程度の年を過ぎた辺りから、俺の予想を上回ることが起こり始める。
それは微々たるものから始まって、徐々にその大きさを増していく、
意見が違ったり、親に反抗してみたり。
と言っても、元々、口も体もあまり動かない子供ではあったので、一見わかりにくく、
それがユニの自我だと気づくまでに少しの時間がかかった。


彼は自分の伺い知れぬ何かで、勝手にユニ自身の完成作になっていく、



きっと、いつか彼も自分が嫌いな人間になる。
それでも今なお、彼の元を離れたくないのは、
もう少しだけ「明日魔」と彼が名付けた自分を呼ぶ声を、聞いていたいだけなのだ。


「明日魔、明日魔、返事はしなよ」

(…あーあ、結局他のヤツと一緒になっちまった)


それはひどくいとおしい我が主人


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