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差し出された

100題です。
原作がアレなだけに暗いリボツナはやめました!あえて明るくいってやる
柳は年中原作反抗期です(笑)
なんたって、とっても幸せなリボツナが原作であってると死にネタ浮かぶし
くらーくなってくると、とっても甘あまでラブラブ街道一直線みたいなんが
浮かぶんですよ・・・

まあ何はともアレどうぞ;
二人の交差点







今日はボンゴレ10代目就任式


何もかもが異例の事態でボンゴレの本部は慌ただしかった
幹部はほとんどの人間が入れ替わり
なんといってもイタリアの伝統と格式を誇っていた
ボンゴレの頂点に今日から君臨するのは
日本人のまだ若い青年なのだ



もちろんこの就任をよく思わないものもいる
「反乱分子を自らつくってしまうほどボンゴレも馬鹿ではないと
思っていたのだが・・・」というのが他のマフィアの意見だろう

しかしこの事態のなかでも、抗争が起こらないのは
若干15歳の世界一と言わしめられる腕を持つ
本日10代目に就任する青年の家庭教師で
フリーのヒットマンでもある少年よって抑えられてきたからだ

この少年の力量に皆が感嘆した
そして、就任式を迎える今日、
リボーンとボンゴレ9代目の間にあった契約はきれる。


この少年と次に契約したいと思わぬ組織があるだろうか
本部内がごった返す中
リボーンは電話に出ずっぱりだった


「だから!そんな依頼は受けねぇっつってんだろうが!!」


怒鳴り声をあげ乱暴に受話器をきる


「まだ契約きれてねぇってのに馬鹿どもが」


チッっと舌打ちをして顔をしかめる

(それだけではなく今の俺は
契約が切れてツナの側を離れることさえためらっているというのに!)

この10年という長い月日の経つ間にリボーンにとって
ツナはなくてはならない存在になっていた
今までは”契約”を盾にツナの傍にいることは誰からも不振がられなかった
しかしこれからは違う
こんな焦燥感ははじめての経験だった


誰かがリボーンの控え室である部屋の扉をノックした


「なんだ?」

「失礼します。10代目の準備が整いました」


そういって静かにドアを開け入ってきたのは
10代目となる日本人沢田綱吉(通称ダメツナ)の
自称右腕と言い張る銀髪灰眼の男、獄寺隼人である


「ああ、今行く」


椅子にかけてあったスーツをはおうと獄寺とともに部屋を出、
ツナのいる執務室へと向かう



長いようで短かった。初め会ったときと今では格段に成長したといっていい

(本人には死んでも言わないが)

はっきりいってツナの傍以外どこにも行きたくはない
しかしこの世界でそんなあまいことをいってはいられない
仮にボンゴレと敵対関係にある組織と契約してしまえば・・・

そのあたりはツナでさえわかっているだろうから





獄寺が執務室の扉をノックし開ける
そこには白いスーツを着た眩しいばかりの笑みをうかべるツナの姿


「リボーン・・・どう?へんじゃない?」


意識せず目を細める


「ああ・・上出来だ」


今は目の前の愛しい生徒のことだけ考えよう




明日になれば俺はツナを標的にしているかもしれないのだから

思ったとき胸の奥が痛んだことは見ないフリをした






「いよいよ本物の10代目になられるんですね」


うれうれと獄寺くんがいう


「当然だ」


いつもの意地の悪い笑みを浮かべて帽子を深く被るリボーン


獄寺くんはまだ用事があるらしく部屋を出て行ってリボーンと二人だけになった
沈黙する室内。






ほんとはねリボーン、俺初めておまえとあったときは二人だけでいるときの
沈黙が耐えられなかったんだ。いつも空気がピリピリしていて


でもね、いつからかおまえの纏う空気が変わったんだ
今はこの沈黙さえ優しく俺を包んでいるようで好きなんだ


おまえは気付いていないかもしれないけれど
俺はおまえのことを・・

今日でそれも終わるんだね。
そう、これから一緒に居ることなんてないんだ


「ダメツナが」って舌打ちされることも

なんだかんだいって助けてくれることも

意地の悪い笑みを見ることも

ごく稀にに微笑んでくれることも


「おっまえ・・泣いてんのか?」

「・・え・・・?」


気付かなかった
今更こんなことを思って泣いていてはいけないと頭でわかっているのに
リボーンが離れていくことがとても怖いんだ
悲しくて、苦しくて、胸が張り裂けそうなんだ



一方のリボーンはというとツナの泣き顔を見て彼らしくもなく動揺していた

なぜ泣いている!?ツナはここまではじめはマフィアになることを拒んだが
ここ何年かはボンゴレのトップに立つことを了承していたはずだ



それとも俺のせいか?



最終的に強制はしないつもりだったのだが
もし仮にここでツナを手放せば二度と会えなくなる
たとえツナに対する思いがかなわなかったとしても
こちらの世界にツナが居る限り会うことだけは許される


もちろんこんな感情を優先するわけにはいかず抑えているつもりだったが


無意識にツナの退路を絶っていたのではないか


「そんなにマフィアになるのが嫌なのか・・・!?」


動揺からかわずかだが声が擦れてしまった俺らしくもない


「っ!ちっ違うよ!!」


ツナは慌てて否定する


「そうじゃないよリボーン、違う!嫌じゃない」


泣いているせいで上ずった声になってしまう

くそっ泣き止まなきゃ、リボーンだって呆れてる



止まれよ涙っ!!


袖で強引に眼をこすって下を向く


「俺はおまえと少しでも長く一緒に居たくて・・
契約が終わってリボーンが離れていってしまうのが怖いんだ」


リボーンは俺の甘えた考えを怒るかもしれないけど


「・・・は?・・・っつ!!」


頭が一瞬真っ白になった。



こいつ今なんていった?



ツナが下を向いていて心底よかったと思った

(手がかすかに震えている・・・)

だってそうだろ?一番大事な人にこんなふうに言われて
歓喜に打ち震えない者がいるだろうか
契約が今日できれ、ツナは立派にボンゴレのボスの座に着けるほどの
実力をつけ、俺はもう必要ないというのに



ツナはそれでも俺を必要だと言っているのだ



口角が上がるのがわかる


「じゃぁ契約しろ、ツナ」

「え?」


ツナがリボーンのほうを見る朝日が昇ったのだろう窓から日が差し込み
色素の薄い髪が照らされ、黄金色に見える


「確かに今日で9代目のじじいとの契約はきれる、
だが新たにボンゴレ10代目沢田綱吉と契約すれば俺はお前の側に居る」

「・・でも俺の自由にできるお金なんて限られてるし
リボーンとの契約料ってすごく高いんだろう?」


とても俺にはムリだよ。とツナが力なく笑う

おまえはいつになったらダメツナを卒業するつもりなんだ
そんなことくらい俺がわかっていないと思うのか?


「俺が欲しい報酬は金じゃねぇぞ」

「はい?」


座っていた椅子から立ち上がりツナのほうへ歩み寄ると
近年成長期とでもいうのだろうすっかりついてしまった身長差から
あごを持ち上げてこちらを向かせる
自分のなかでもめったに浮かべない最高の笑みで言ってやった


「報酬はボンゴレ10代目となられる沢田綱吉のすべてで」

「!なっっつ!!//////」


一気に真っ赤になるツナ
なんてわかりやすい返事してやがんだこいつ

赤い顔のまま眼を瞑って少し思案したのか
俺のネクタイを引っ張って顔を近づけると


「俺のすべてって言うからには死ぬまで側にいろよ!!/////」


潤んだ瞳で強い視線を向けられて
内心少々焦っているがそんなことを
ツナに悟られたくない一心で
ニヤリと笑って唇を奪う




このとき腕はまだ震えていたかもしれない



それほどに好きな相手なのだから


「イエス、ボス」


就任式へと向かうレッドカーペットは
さながらふたりのバージンロードのようだと笑い合う

最高の笑顔を浮かべたツナをみて愛しさがこみ上げる


「行こうリボーン」


差し出されたその細い腕が掴むのは、何

伸ばされた手を掴み身体を引き寄せ耳元で囁く






「愛してるぞ、ツナ」












お題【差し出されたその細い腕が掴むのは、何】
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